ご存知の通り海外から訪日観光客が増えており、そして今年2020年はオリンピックも開催され、訪日観光客がさらに増えることは間違いありません。誘致のためには、航空輸送手段を見直して強化する必要があります。そのための国際線を増設する手段の一つとして、羽田に離発着する便が飛ぶ新ルートが設けられました。
これまでは羽田から海に向かって離陸し、海から着陸するルートのみでしたが、増便するにあたり、海に向かって離陸することは変わりませんが着陸は新たに都心上空を通過することになりました。これが新ルートとなります。
これまで旅客機が飛ぶことがなかった都心上空を通過するようになり、その影響への懸念から「新ルート問題」などとしても話題になっています。
新ルートは2本の滑走路に着陸する便の経路で、上の地図のように晴天時・雨天時の天候によって多少異なります。都心については大きくは変わらず、駅でいうとこのあたりを飛びます。
A滑走路便: 立会川、大井町、大崎、五反田、目黒、恵比寿、渋谷、中野など
C滑走路便: 天王洲アイル、品川、白金高輪、広尾、代々木、新宿など
このルートを飛ぶ時間帯は決まっており、「15:00~19:00の間の3時間程度」かつ「南風が吹いた時」となっています。ですので、四六時中飛ぶわけではないのです。
とはいえその時間帯で、このルートを飛ぶ便数はけっこう多いです。A滑走路は1時間に14便程度、C滑走路は30便程度が着陸予定だそうで、頻繁にそれらのエリア上空を飛行機が通過することになりますね。
それでは、地上からどれくらい近くを飛ぶの?というのも気になるところです。その地点によって高度は違い、羽田空港に近いほど低く飛びます。
中野・新宿駅付近では約950m、広尾・恵比寿駅付近は約650m、五反田・品川駅付近で450mです。数字で聞いてもあまりピンと来ないですよね。建物の高さに例えると、650mはおおよそ東京スカイツリーの高さになります。都心を飛行機が飛ぶのを見慣れていないので、思ったより近くを飛んでいることに驚く方も多いようです(試験飛行時のSNSコメント)。
この新ルートの運用に先立って、2019年8月末から飛行検査が、実機での試験飛行が2020年1月30日~2月12日まで行われました。私は2月8日(土)車で首都高の渋谷付近を走っていた時に試験飛行を見かけました。飛行機が飛ぶ様子は上を見上げて見えるのではなく、斜め上の視線で飛んでいる様子が見えます。やはり、地上からけっこう近くを飛んでいるんだな、という印象を持ちました。そして、頻繁に何便も飛んでいる。これが期間限定ではなく、3月末からは日常の光景になるわけです。
この新ルートでの飛行開始は問題視もされています。まずは騒音。それ以外にも、落下物、事故やテロの可能性。
後者については、事故に関してはその確率は自動車事故の数万分の1だそうで、心配する必要はないでしょう。
一方、騒音については問題視する声が多くあがっています。騒音の程度は、麻布・恵比寿・渋谷では68~74dB(デシベル)とのこと。70dBは、セミの鳴き声や高速道路走行中の車内に例えらます。都心の喧騒の中ではあまり気にならないかもしれませんが、普段は静かな住宅街のエリアでは騒音がかなり気になるかもしれません。この住宅街への騒音は、生活への差し障りから不動産価格の下落が危ぶまれています。これがいわゆる「新ルート問題」です。
今回の新ルート開設当初は1日の飛行時間は3時間程度とされていますが、今後羽田空港を発着陸する便がさらに増えてくることが予測され、そうなると時間延長が必要となってくるでしょう。そうなった時の生活への影響はまだ未知数です。オリンピックが終わり世間が落ち着いた後の動向がどうなるか気になるところです。
tk! |
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