ナイアシン(ビタミンB3)健康長寿には欠かせない

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Pinryu

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ビタミンB3とも呼ばれる、ビタミンB群のナイアシンはビタミンB1、B2、B6とあわせて摂取していくことが大切であるといわれています。

では、いったい健康とどのような関係があり、体にどのような効果をもたらすのでしょうか。

そのはたらきについて見ていきましょう。

 

1 ナイアシンとは

【 ナイアシンの基本 】

●化学名はニコチン酸で、その誘導体はニコチン酸アミドといいます。これらの総称がナイアシンで、ビタミンB3という時もあります。つまりビタミンB群の水溶性ビタミンです。動物性食品から植物性食品まで広く分布しており、熱や酸アルカリ、光に強く、酸化されにくい白色結晶です。

●生体内においては、トリプトファンという必須アミノ酸から合成されますが、人ではさらに腸内の常在細菌もナイアシン合成をおこなっています。ですから通常の食生活を送っていれば欠乏症になる心配はありません。

【 ナイアシンの欠乏症 】

●ナイアシン欠乏症として知られている「ペラグラ」(荒れた皮膚という語源から来ている)は皮膚炎や口舌炎、神経症状、下痢や胃腸炎などの消化器症状を伴い、欠乏が進行すると憂鬱・頭痛などの中枢神経障害や認知障害をきたします。日本人の食生活ではあまり心配ありませんが、アルコールの過剰摂取を続けるとナイアシンを大量に消費するため、欠乏症になる場合があります。

【 ナイアシンのはたらき 】

●ナイアシンのおもなはたらきはつぎのようです。

(1)糖質・脂質・タンパク質などの代謝に関与

(2)動脈硬化や糖質異常性の改善に効果あり

(3)アルコール分解の補酵素としてはたらく

順番に見ていきましょう。

2 糖質・脂質・タンパク質の代謝

●ナイアシンはB1、B2、B6とともに糖質・脂質の代謝に不可欠のビタミンです。

●体内のニコチン酸はNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)、NADP(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドリン酸)などの活性型になり、エネルギーの産出に働く酵素(脱水素酵素)を助ける補酵素としてのはたらきをもちます。

●特に1日1500㎎のニコチン酸アミドの摂取で、中性脂肪や悪玉コレステロールの低減作用が認められ、脂肪の代謝が改善されるとされています。

●悪玉コレステロールは血液中で、アポタンパクBと呼ばれるたんぱく質にくるまれた状態で運ばれます。ニコチン酸アミドの摂取はこのアポタンパクBを減らすことが知られています。

3 動脈硬化・糖質異常性の改善

●脂質の代謝、アポタンパクBの低減作用により動脈硬化や糖質異常性の改善に効果があり、「ニコチン酸トコフェロール」(ビタミンEとニコチン酸アミドの合剤)がよく知られています。

●そのため、脂質異常症の患者には治療薬として大量投与されています(大量投与によりコレステロールや中性脂肪を下げる薬理効果がはっきりしているため)。

●ただし、ナイアシンはインスリンの合成に関与しており、大量摂取は糖質の処理能力を妨げるという最近の報告がありますので、糖尿病の人は摂取に注意が必要となります。

4 二日酔い防止・アルコール分解

●アルコールを分解するアルコール脱水素酵素などもNADを補酵素としています。つまり、ナイアシンはアセトアルデヒドの分解のはたらきに関与しているわけです。したがって、二日酔いに対する効果があります。しかし、アルコールの過剰摂取はナイアシンを大量に消費しますので、注意が必要です。

5 ナイアシンの摂取について

●トリプトファン60㎎からニコチン酸1㎎が変換されるとされています。

●ナイアシンは動物・植物性食物に幅広く含まれているため、一般的な日本人の食生活ではナイアシンの欠乏の心配はありません。ただし飲酒の多い方は多少ナイアシンの摂取量を増やした方がよいでしょう。

●日本食品標準成分表ではニコチンアミドとニコチン酸の総量がナイアシン量(㎎)となっていますが、これはトリプトファンから合成されるナイアシンが含まれていません。そこで、食事摂取基準2015ではトリプトファンの質量の60分の1をナイアシン活性として加えたナイアシン当量(㎎NE)という単位で表示されました。

●食品中のトリプトファン量はタンパク質の約1%にあたります。したがってタンパク質の量(g)×1000÷100÷60をすればタンパク質に含まれるトリプトファンから合成されるナイアシンが計算できます。そこで

ナイアシン当量(㎎NE)=ナイアシン量(㎎)+タンパク質量(g)÷6で計算されます。

●奨励量は1日あたり

男性 18~49歳・・・15㎎NE

   50~69歳・・・14㎎NE

   70歳以上・・・13㎎NE

女性 18~29歳・・・11㎎NE

   30~49歳・・・12㎎NE

   50~69歳・・・11㎎NE

   70歳以上・・・10㎎NE

(授乳婦は+3㎎NE)となっています。

●過剰摂取すると消化器系に影響がでたり、1日当たりの摂取量が100㎎を越えると皮膚が赤くなってヒリヒリしたり痒くなったりする可能性があるため、上限量は1日100㎎となっています。

【 ナイアシンを多く含む食物 】

・カッコ内の数字が含まれるナイアシンの㎎量です(単位は省略)

・なお、食物の量が多ければ含まれる量も多くなるため、含有ランキングではありませんが、特に多く含まれるものを10種類のせました。

(1)たらこ40g    (19.8)

(2)かつお(春)80g (15.2)

(3)かつお(秋)80g (14.4)

(4)びんながまぐろ70g(14.5)

(5)鶏むね皮つき100g (11.2)

(6)まさば70g    ( 8.2)

(7)ぶり80g     ( 7.6)

(8)はまち80g    ( 7.2)

(9)さんま100g    ( 7.1)

(10)サーモン70g    ( 5.2)

となります。魚や肉、また玄米やピーナッツなどにも高い割合で含まれています。

6 ナイアシン その他

【 ナイアシンの発見 】

●18世紀のスペインやイタリア、19世紀のヨーロッパ全域、20世紀初頭のアメリカ南部といったトウモロコシを多食する地域においてペラグラが猛威をふるいました(トウモロコシにはトリプトファンが少ない)。最初はトウモロコシの伝染病ではないかといわれていましたが、米国のゴールドバーガーがペラグラ予防因子の欠乏が原因であると唱え、その因子にあたるものがニコチン酸であったわけです。

●1937年に米国のエルビエムが、動物の肝臓から分離したペラグラ予防因子がニコチン酸であることを証明しました。そして1943年には米国ではナイアシンのパンやシリアル類の小麦製品への添加が行政命令になったそうです。

●ニコチン酸の名前は、たばこに含まれるニコチンと化学構造が似ていることに由来しています。しかし、その両者では生理作用は全く異なりますので、その後ニコチンと混同されないように呼び名が「ナイアシン」となっていきました。

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