ような煙がたちのぼって | RanQ [ランク]

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ような煙がたちのぼって

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翌朝は晴れて寒かった。ガリオンは部屋の窓辺に立って、ラク?ウルガの石板の屋根を眺めた。低くはいつくばった家々が、町の両端に位置するけばけばしいドロジム宮殿と、トラクの黒い神殿の一対の存在の足元で、こわごわと肩を寄せあっているように見えた。無数の煙突から風のない空へ、青いまっすぐな柱のような煙がたちのぼっている。
「気がめいってくる場所だよな、え?」シルクが緑の服をむぞうさに肩にひっかけて部屋にはいってきた。
ガリオンはうなずいた。「まるでわざと醜くしているみたいだね」
「マーゴの精神の反映なのさ。そうそう、ウルギットがまたおれたちに会いたがっている」小男はガリオンの物問いたげな目を見て言った。「べつだん重要な用じゃないらしい。たぶん、会話に飢えているんだろう。マーゴ人としゃべってもすぐあきちまうのは容易に察しがつくよ」
王の召集を伝えにきた鎖かたびらの護衛にくっついて、かれらはぞろぞろときらびやかな廊下を通って、前日ウルギットに会った部屋へ向かった。ウルギットは暖炉のそばの椅子にだらしなくすわって片脚を肘かけにのせ、片手に食べかけのチキンの脚を持っていた。「おはよう、諸君」ウルギットはかれらを迎えて言った。「すわってくれ」一方の壁ぎわに並んでいる椅子のほうへ朝食をふってみせ、「わがはいはあまり行儀にうるさくないんだ」かれはサディを見た。「よく眠れたか?」
「明け方は少し寒うございましたね、陛下」
「これはだらしのない建築物だからな、馬一頭通れるほどの大きなひびわれがいくつも壁にできているんだ。冬になると、廊下は吹雪さ」ウルギットはためいきをついた。「トル?ホネスがいま春だということに気づいているか?」またためいきをつき、ベルガラスをちらりと見た。ベルガラスは妙なにやにや笑いをうかべて立っていた。「なにがおかしいんだ、じいさん?」
「いえべつに。思いだし笑いです」老人は暖炉に近づくと、ばちばちと燃えている火に両手をかざした。「陛下の家来の方々はいつ船に乗ってくるのです?」
「準備が整うのは、早くても明日になるだろう」ウルギットは答えた。「冬が近づいているし、ウルガ半島の南端を取り巻く海は、天候のよい季節でもおだやかとは言いがたい。だからわがはいは船大工に特別気を配るよう命じておいたんだ」かれは身をのりだして、チキンの脚をぽいと暖炉のなかへなげこんだ。「焦げていたのさ」うわの空で言った。「ここでわがはいが食べる食事はどれもこれも焦げてるか生かだ」ウルギットは不思議そうにベルガラスを見つめた。「あんたがどうも気になるんだ、じいさん、ニーサの奴隷商人に雇われて一生を終えるタイプには見えない」
「見かけはあてにならないものです」ベルガラスは肩をすくめた。「陛下だって王さまには見えませんが、ちゃんと王冠をかぶっておられる」
ウルギットは手をのばして、鉄の輪をはずした。それをいやそうに眺めてから、ベルガラスに差し出した。「これがほしいか?」とたずねた。「あんたのほうがわがはいよりよっぽど似合いそうだ。なくなればせいせいする――カル?ザカーズがこれの下からわがはいの首をとりたくてうずうずしているとあれば、なおさらだ」ウルギットは王冠を椅子のかたわらの床へほうりだした。王冠は床にぶつかって鈍い音をたてた。「きのう話しあっていたことに戻ろう。ベルガリオンを知っていると申したな」
ベルガラスはうなずいた。
「どのくらい知っている?」
「他人のことを知っている者などいやしませんよ」
「質問をはぐらかしているな」
「そう思えますか」
ウルギットはそれを受け流して、じっと老人を見つめた。「わがはいと同盟を結んでマロリー人を大陸から追い出すことを提案したら、ベルガリオンはどう反応すると思う? マロリー軍の存在はわがはいに負けず劣らずベルガリオンを悩ませているはずだ」
「見込みはあまりないですな」ベルガラスは言った。「ベルガリオンを説得して名案だと思わせることはできても、アローンの他の君主たちがおそらく反対するでしょう」
「かれらはドロスタと和解にこぎつけたのだろう?」
「それはローダーとドロスタのあいだのことだったのですよ。ドラスニア人とナドラク人のあいだにはつねに周到な友情がありましたからな。陛下のお考えを認めてもらわなくてはならない相手は、チョ?ハグでしょう。ですが、チョ?ハグは必ずしもマーゴ人に友好的ではありません」
「わがはいに必要なのは味方だ、平凡な意見ではない」ウルギットはちょっと間をおいた。「ベルガラスに話したらどうだろう?」
「なんとおっしゃるのです?」
「西方の諸王国にとっては、わがはいよりもザカーズのほうがはるかに脅威であることを納得してもらうのだ。かれならアローン人に耳を傾けさせることができるかもしれない」
「それもあまり期待はできませんよ」老人は踊る炎をじっと見つめた。銀色の短いひげに火あかりが照りはえている。「ベルガラスは普通の人間とはちがう世界に住んでいることを理解なさらなければなりません。かれは神と原始の力の世界に住んでいるのです。かれにしてみれば、カル?ザカーズなどささいないらだち程度のものでしかないでしょう」
「|ちくしょう《トラクズ?ティース》」ウルギットはののしり声をあげた。「どうすればわがはいの求める軍隊が手にはいるのだ?」
「傭兵を雇われることです」窓のそばに立っていたシルクがふりかえらずに言った。
「なんだって?」
「宮殿の丸天井をけずって、アンガラクの偽の金をつくるのです。そして西方の諸王国に使者を送り、腕のいい兵士が必要であること、かれらに良質の金を払うつもりでいることを伝えるのです。志願兵がわんさと押しかけてきますよ」
「わがはいは愛国のために――あるいは宗教のために戦う兵のほうが好ましい」ウルギットは硬い口調で宣言した。
シルクはおもしろそうな表情でふりかえった。「わたしの観察では、たくさんの王さまがそれと同じ好みをお持ちです。ですが、信じてください、陛下、理想への忠誠は強さにばらつきがありますが、金への忠誠には一貫性があるのです。傭兵が兵士としてすぐれているのはそのためなんです」
「おまえは皮肉屋だな」ウルギットは非難した。
シルクは首をふった。「いいえ、陛下。おれは現実主義者なんです」かれはサディに歩みよってなにごとかささやいた。宦官がうなずくと、ネズミ顔の小柄なドラスニア人は部屋を出ていった。
ウルギットはどういうことだというように片方の眉をつりあげた。
「荷物を詰めるつもりですよ、陛下」サディが説明した。「明日出航するなら、用意をしておかねばなりません」
ウルギットとサディが十五分あまり静かに話し合っていると、部屋の向こう端にあるドアがまた開いた。ポルガラと他の女性たちがレディ?タマジンと一緒にはいってきた。
「おはようございます、母上」ウルギットは挨拶した。「よくお眠りになったのでしょうね?」
「ぐっすり休みましたよ、ありがとう」レディ?タマジンはとがめるようにウルギットを見た。「ウルギット、王冠はどこへやったのです?」
「ぬいだんですよ。あれをかぶっていると頭が痛くなるんです」
「すぐにかぶりなおしなさい」
「なんのためにです?」
「ウルギット、おまえは少しも王らしく見えませんよ。背は低いし、やせているし、顔はイタチそっくりです。マーゴ人は頭がよくないんです。いつも王冠をかぶっていないと、おまえがだれだかみんなに忘れられてしまいますよ。さあ、かぶりなさい」
「はい、母上」ウルギットは冠をひろいあげて、頭にのっけた。「これでどうです?」
「まがっているわ、ディア」その静かな口調は、ガリオンがびっくりしてすばやくポルガラをちらりと見たほど、なじみ深い言い方だった。「それじゃまるで飲んだくれの水兵ですよ」
ウルギットは笑い声をあげて、王冠をまっすぐにした。
ガリオンは注意深くセ?ネドラを見つめた。前日の激しい感情の揺れの痕跡が残っていないかと気になったのだが、あの嵐のような動揺がすぐまたぶりかえす気配はどこにも見あたらなかった。彼女はクタン家の王女プララと声をひそめておしゃべりをしており、マーゴの少女の顔を見れば、プララが早くもすっかりセ?ネドラにひきつけられてしまったのはあきらかだった。
「それで、おまえは、ウルギット、よく眠れたの?」レディ?タマジンが言った。
「じつは一睡もしていないんですよ、母上。ご存じのくせに。もう何年も前に、不眠症でいるほうが、永遠に眠りからさめないよりはずっといいという結論に達しているんです」
ガリオンは自分がこれまでの考えを苦労して改めようとしているのに気づいた。かれはマーゴ人が好きだったことはただの一度もなかった。マーゴ人にはつねに不信感をいだいていたし、恐怖感さえもっていた。ところが、ウルギット王の人となりは、その容貌同様まるでマーゴ人らしくなかった。すばしっこくて、移り気で、皮肉っぽいだじゃれをとばすかと思うと、いきなりむっつりだまりこむ。次になにがとびだすかまったく予想もつかない。ウルギットはどう見ても強い王ではなかった。ガリオンは自分も王である経験から、ウルギットがどこでまちがいを犯しているのかよくわかった。しかし、いつのまにかガリオンはウルギットが好きになり、絶望的なくらい不似合いな職務に悪戦苦闘しているウルギットに奇妙な同情を覚えた。言うまでもなく、そういう気持ちを持つのは禁物だった。ガリオンはこの人物を好きになりたくなかった。こんな同情を持つのは場ちがいもはなはだしいように思えた。ガリオンは椅子から立つと、部屋の向こう端へひっこんで、窓の外をながめるふりをしながら、マーゴの王のいんぎんな機知に耳を傾けまいとした。荒涼たる沿岸に肩を寄せあうこの醜悪なマーゴの都市や、本当はそれほど悪い男ではないが、敵と見なさなくてはならない、この弱くておどおどした人物から、一刻も早く離れて、船上の人となりたいと思った。
「どうかしたの、ガリオン?」ポルガラがうしろから近づいてきて、そっとたずねた。
「いらいらしているだけだよ、ポルおばさん。じっとしていられない気持ちなんだ」
「わたしたちみんながそうなのよ、ディア。でも、あと一日のしんぼうだわ」
「なんでかれはぼくたちをほっといてくれないのかな?」
「かれって?」
「ウルギットさ。ぼくはかれの悩みなんかどうでもいい。どうして一日中ぼくたちをつかまえてしゃべらなくちゃならないんだろう?」
「さびしいからよ、ガリオン」
「王なんてみんなさびしいもんさ。孤独は王につきものなんだ。だが、ぼくたちのほとんどはそれに耐えるすべを学ぶ。漫然とすわって、泣き言を言ったりしない」
「冷たいのね、ガリオン。あなたらしくもないわ」
「なんでぼくたちみんなが口のうまい軟弱な王のことを気にかける必要があるんだい?」
「たぶんそれは、ウルギットがわたしたちがじつに久しぶりに会った人間らしいマーゴ人だからだわ。かれの人柄のせいよ。いつかはアローン人とマーゴ人が流血にたよらずに不和解消の道を見つける可能性が、かれの中に見えるからよ」
ガリオンは窓の外を見つめつづけていたが、首すじにゆっくりと朱がさしてきた。「子供みたいなことを言っちゃったね」
「そうね、ディア、そう思うわ。偏見があなたの判断力をくもらせているのよ。凡人にはゆるされても、王にはゆるされないことだわ。さ、ウルギットのところへ戻りましょう、ガリオン、そしてかれをよく観察するの。かれを知るにはもってこいのチャンスよ。その知識があなたの役に立つときがくるかもしれないわ」
「そうだね、ポルおばさん」ガリオンはためいきをつくと、決然と肩をそびやかした。
正午近く、オスカタットが部屋にはいってきた。「陛下」かれは耳ざわりな声で知らせた。「ラク?ウルガの高僧アガチャクどのが謁見を求めておられます」
「お通ししろ、オスカタット」ウルギットは退屈そうに答えてから、母親のほうを向いた。「別の隠れ場所を見つけなくてはならないようですね。わがはいがどこで見つかるか、知っている者が多すぎます」
「わたくしの部屋にすばらしい戸棚がありますよ、ウルギット。暖かくて、乾いていて、暗いわ。あそこに隠れて毛布をかぶっていたらいいわ。ときどき食べ物をさしいれてあげましょう」
「からかっておられるんですか、母上?」
「いいえ、ディア。でも、好むと好まざるとにかかわらず、おまえは王なのですよ。王でいてもいいし、甘やかされた子供でいてもいいのです。おまえしだいなのよ」
ガリオンはうしろめたそうにポルガラをちらりと見た。
「なあに?」
だがガリオンは答えないことにした。
死人のような顔のアガチャクがはいってきて、おざなりに王にお辞儀し、「陛下」とうつろな声で言った。
「おそれおおい高僧どの」ウルギットは答えたが、その声にはまるで感情がこもっていなかった。
「ときが過ぎてゆきます、陛下」
「ときは過ぎてゆくものだと思ったが」
「わたしが申しますのは、天候が嵐になりそうだということですよ。船の準備はもうできているのですか?」
「明日には出航のはずだ」
「そうでしたか。では、カバチに用意をするように指示しておきましょう」
「尼僧のチャバトは落ち着きを取り戻したかね?」
「そうでもないようです、陛下。いまだに情夫の死を嘆いています」
「自分への男の本当の気持ちを知ったあとでもか? 女心というのはまことに奇怪なものだな」
「チャバトはそれほど複雑ではありません、陛下」アガチャクは肩をすくめた。「醜い女には恋人をひきつけるチャンスはそうないのですよ。ですから、不実な男でも死なれれば嘆きは大きいのです。しかし、特にこの場合のチャバトの損失の深さは普通以上のものがありましてな。ソーチャクはある魔法の儀式の遂行を手助けしていたのです。ソーチャクがいなくては、悪魔を呼び出す努力をつづけるのはむりでしょう」
ウルギットはみぶるいした。「チャバトは魔女だったはずだろう。それだけでは不満なのかね? なぜ魔法にまで手をだしたがるのだろう?」
「チャバトはじつはそれほど力のある魔女ではないのです」アガチャクは答えた。「悪魔をうしろだてにできれば、最終的にわたしと対決するときはるかに有利だと考えているのですよ」
「あんたと対決する? それがチャバトのたくらみなのか?」
「むろんです。チャバトがときどきわたしと戯れるのは、ほんの気晴らしなのです。彼女の主たる目的はこれまでつねに権力でした。いずれ、彼女はわたしから力ずくで権力を奪おうとするでしょうな」
「もしそうなら、どうしてチャバトに神殿であのような権力を与えたのだ?」
「おもしろかったのです」アガチャクはぞっとするような笑みをうかべた。「普通の人間にくらべて、わたしは醜いものにあまり反発を感じない。それにチャバトはあの野心にもかかわらず――というより、あの野心があるからこそ――非常に有能なのです」
「ソーチャクとの仲は知っていたのだろう。腹がたたなかったのか?」
「たちません」死人のような顔つきの高僧は答えた。「あれはわたしがみずからお膳立てをした楽しみの一部にすぎませんよ。最後にはチャバトは悪魔を呼び出すのに成功するでしょう。そしてわたしに挑んでくるはずです。彼女の勝利が目前に見えたとき、わたしも悪魔を呼び出すつもりです。わたしの悪魔がチャバトの悪魔をほろぼすでしょうな。そうしたら、あの女を裸にして聖所へひきずっていくのです。チャバトは祭壇に仰向けに寝かされ、わたしがこの手でじわじわと喉をかき切ってやるのです。その瞬間がいまから待ちきれないほどですよ。わたしを打ち負かしたとチャバトが思ったときに、チャバトの息の根をとめるのだから、快感もひとしおです」青ざめた顔がおぞましい喜びで生き返ったように赤味をおび、目はぎらぎらと輝いて、口の両端に唾がたまった。
それにひきかえ、ウルギットはなんだか吐きそうな顔つきだった。「グロリムというのは並みの人間より風変わりな楽しみかたをするようだな」
「そうでもないでしょう、ウルギット。権力の魅力はただひとつ、敵を滅ぼすのにそれを行使できるということです。息の根をとめる前にふんぞりかえっている敵をひきずりおろすことができれば、それにまさる楽しみはありませんよ。いかがです、ダガシのナイフを心臓につきたてられて、あのいばりくさったカル?ザカーズが死ぬところを見たくはありませんか?」
「いや。わがはいはザカーズがいなくなればそれでいい。その過程を特に見たいとは思わない」
「では、陛下はまだ権力の真の意味をご存じないのでしょう。陛下とわたしとでクトラグ?サルディウスの前に立ち、〈闇の神〉の再生と〈闇の子〉の最後の勝利を目撃したら、いまの考えも変わるかもしれませんぞ」
ウルギットが苦しげな表情になった。
「宿命に背を向けてはなりませんよ、ウルギット」アガチャクはうつろな声で言った。「最後の対決にアンガラクの王が立ち会うことは予言されているのです。その王はあなただ――いけにえを捧げ、再生する〈神〉の最初の弟子になるのがこのわたしであるようにね。われわれは宿命の鎖で固く結ばれているのですよ。あなたの宿命はアンガラクの大王になることだし、わたしの宿命は教会を支配することだ」
ウルギットは観念したようにためいきをついた。「しかしアガチャク、あんたがなんと言おうと、まだわれわれには乗り越えなくてはならない問題がいくつかある」
「そんなものはわたしにはどうでもよいのです」高僧は高らかに言った。
「だが、わがはいにはどうでもよくない」ウルギットはおどろくほどきっぱりと言った。「まず、われわれはザカーズを片づけなくてはならない。次にゲセルとドロスタを処分する必要がある――安全のためだ。前に王位争奪の争いを経験しているわがはいとしては、勝ち残ったのが自分ひとりだけになれば、そのほうがずっと自信が持てるのだよ。しかし、あんたの問題はもう少し重いだろう。ウルヴォンとザンドラマスはたいへんな強敵だ」
「ウルヴォンなど腰のふらついた愚かな年寄りです。ザンドラマスはただの女にすぎません」
「アガチャク」ウルギットは鋭く言った。「ポルガラもただの女だ。あんたは彼女に立ち向かえるかね? そうではあるまい、高僧どの、ウルヴォンだってあんたが考えているほどもうろくはしていないだろう。それにザンドラマスはあんたが信じたがっているよりもはるかに危険だ。あの女はベルガリオンの息子をまんまと誘拐した。あれは絶対に小手先の手品などではなかった。しかも、あんたたちがまるでそこにいなかったかのように、あんたがた高僧たちをまいてしまった。おたがいにこういうことをあまり軽く考えるのはよそうじゃないか」
「わたしはザンドラマスの居所を知っているんですよ」アガチャクがぞっとするような微笑をうかべて言った。「だからしかるべきときがきたら、ベルガリオンの息子を奪い取るつもりです。定められたときに、あなたとわたしと、いけにえになる赤ん坊がサルディオンの前にでることは予言されている。わたしはそこでいけにえの儀式を行なうだろうし、あなたはそれを目撃する、そしてわれわれふたりはナンバー?ワンの地位につく。そう書かれているのです」
「あんたがそれをどう読んだかによるよ」ウルギットはのろのろとつけくわえた。
ガリオンはなにげない顔をしてセ?ネドラに近づいた。グロリムの高僧がたったいま口にしたことの意味がわかって、セ?ネドラの顔からゆっくりと血の気がひきはじめた。「あんなこと、起こりゃしないよ」ガリオンは静かな声できっぱりと言った。「ぼくらの子にそんなことをするやつがいるもんか」
「知っていたのね」セ?ネドラは押し殺した声でガリオンを非難した。
「おじいさんとふたりで、神殿の書庫でグロリムの予言書の中にそう書いてあるのを見つけたんだ」
「ああ、ガリオン」セ?ネドラは泣き出すまいと、きつくくちびるをかみしめた。
「心配するな。その同じ予言書には、トラクがクトル?ミシュラクで勝つと書いてあった。トラクは勝たなかった、だから、これも現実にはならない」
「でも、もし――」
「もし、はない」ガリオンは断言した。「そんなことは起きないんだ」
高僧が立ち去ったあと、ウルギット王の気分は一変した。王座にすわったまま、気むずかしげに考えこんでいる。
「陛下はおひとりになられたいのではありませんか」サディが思い切ってたずねた。
「そうではない、サディ」ウルギットはためいきをついた。「どれだけ心配したところで、すでに動きだしたことは変えられないのだ」かれは首をふってから、いっさいにケリをつけるように肩をすくめた。「サルミスラがそんなにおまえに腹をたてる原因になった、ささいな不品行とはどんなことだったのか、詳しい話を聞かせてくれないか? 裏切りや不名誉な話に目がなくてな。そういう話を聞くと、いつも、この世も結局そう悪いところじゃないという気になれるのだ」
サディが失墜の引き金になった複雑な計略の話を、微に入り細に入りしゃべりだしてまもなく、家令がふたたび部屋にはいってきた。「クタカの軍司令官より至急便がとどきました、陛下」オスカタットはやすりをかけたような声で伝えた。
「今度はなにが望みなのだ?」ウルギットはうんざりしたようにつぶやいた。
「マロリー軍が南部で大がかりな戦いを展開しているとのことです。ラク?ゴラトは包囲攻撃されており、一週間以内に陥落するのは必至の状勢です」
「秋だというのにか?」ウルギットは叫んで、がっくりしたように椅子から立ち上がった。「夏がすでに終わったというのに、戦いをしかけているのか?」
「そのようです」オスカタットは答えた。「陛下の不意をつこうとのカル?ザカーズの計略でしょう。ひとたびラク?ゴラトが落ちれば、ザカーズ軍とラク?クタカのあいだにはなにもないも同然です」
「ラク?クタカの駐屯軍は存在しないも同じなのだろう?」
「残念ながら、ウルギットさま。ラク?クタカも陥落するでしょう。そうなると、ザカーズは丸ひと冬かけて、南部における支配を固めることができます」
ウルギットは汗をかきはじめた。壁にはられた地図のところへ急いで歩いていき、「モークトに駐屯しているわが軍はどのくらいいるのだ?」とひとさし指で地図をたたきながら問いつめた。
「クラダクを連れてまいったほうがよさそうですな」オスカタットは言った。「このことは将軍たちも知っておく必要があります」
「おまえが一番いいと思うようにしてくれ」ウルギットはしてやられた口調で答えた。
家令が大股に部屋を出て行くと、ガリオンは部屋をつっきって、地図を眺めた。ひとめ見ただけで、ウルギットのかかえる問題を打破する方法が頭にうかんだが、それをしゃべるのは気が進まなかった。巻き込まれるのはごめんだった。口をつぐんでいたほうがいい理由はいくらでもあった――なかでも一番重要なのは、マーゴの王に解決法を申し出たら、ある意味でかかわりあいをもってしまうということだった。どんなにささいなものであれ、ウルギットとかかわりあいになるのはなんとしても避けたかった。しかし、問題を未解決のままにしておくことは、ガリオンの責任感が許さなかった。それに背を向けるのは――たとえそれが彼自身の責任ではなくても――心の奥底にあるなにかを踏みにじるのに等しかった。ガリオンはひそかに悪態をついてから、悩めるウルギットのほうを向いた。「失礼ですが、陛下」遠回しに核心に近づいた。「ラク?クタカはどの程度要塞化されているのですか?」
「マーゴのあらゆる都市と同じだ」ウルギットはうわの空で答えた。「城壁は高さ七十フィート、厚さが三十フィートある。それがどうかしたか?」
「では、包囲攻撃には耐えられますね――十分な兵を配置できれば」
「それが問題なのだ――兵がたりない」
「ではマロリー軍がラク?クタカに着く前に、増援部隊を送り込む必要があります」
「名案だな。だが、増援部隊の到着が間に合わなかったら、通りがマロリー軍でいっぱいになる前にどうやって部隊をはいりこませるのだ?」
ガリオンは肩をすくめた。「船で送りこむんです」
「船で?」ウルギットはぽかんとした。
「こちらの港には船がたくさんありますし、この都市は兵ではちきれそうです。ラク?クタカの駐屯軍を増強するために、船に兵を乗せて、送りこめばいいんです。ラク?ゴラトがあす陥落したとしても、マロリー軍が陸路で前進すればラク?クタカまで十日はかかるでしょう。船なら一週間以内に到着できます。駐屯部隊を増強してやれば、救援隊が到着するまで都市を守ることができますよ」
ウルギットはかぶりをふった。「マーゴ軍は船による移動はしないのだ。将軍たちが聞き入れようとせんだろう」
「あなたは王でしょう? 聞き入れさせるんです」
ウルギットの顔は悲観的だった。「連中はわがはいの言うことには耳をかさないのだよ」
ガリオンはウルギットをゆさぶってやりたい衝動をかろうじて抑えた。「歩くほうがりっぱだなんてことはありゃしないんです」かれは言った。「ラク?クタカまで兵を行進させたら、都市を失うことになるんですから、なおさらじゃありませんか。将軍たちにお言いなさい、兵を船に乗せるとね、そしてこの件に反論は許さないとも言うんです」
「連中は言うことを聞かないよ」
「だったら、かれらを地位からはずして大佐を何人か昇進させたらいかがです」
ウルギットはぎょっとしたようにガリオンを見つめた。「そんなことはできない」
「あなたは王なんですよ。やりたいことはなんだってできるんです」
ウルギットは優柔不断だった。
「その人の言うとおりになさい、ウルギット」レディ?タマジンがだしぬけに命令した。「ラク?クタカを救うにはそれしかないわ」
ウルギットは放心したような顔で母親を見た。「本当にそうすべきだと思うんですか、母上?」小さな声でたずねた。
「そうするのよ。このお若い人の言ったとおり、あなたは王なんですからね――そろそろ王らしくふるまってよいときだわ」
「ほかにも考慮すべきことがありますよ、陛下」サディがまじめな顔で言った。「マロリー軍がラク?クタカを包囲攻撃したら、わたしはそこに上陸できません。戦いがはじまる前にその近辺を通過していなくてはならないでしょう。奴隷商人はほとんど干渉されずに動き回ることができますが、実際に戦闘が始まってしまったら、マロリー軍はわれわれを拘留するにきまっています。すぐにでも行動しないと、あなたのダガシ人は次の夏までにラク?ハッガに到着できませんよ」
ウルギットの顔はますます暗くなった。「それを忘れていた。おまえと従者たちはすぐここを発つ用意をしたほうがいいだろう。神殿に使いをやって、アガチャクに計画が変更したことを伝える」
ドアがひらいた。オスカタットがはいってきた。前日無遠慮にウルギットの署名を要求したマーゴの将軍が一緒だった。
「ああ、クラダク将軍」ウルギットは快活をよそおって挨拶した。「きてくれてよかった。南部で起きていることはもう聞いたかね?」
将軍はそっけなくうなずいた。「状勢は深刻です」かれは言った。「ラク?ゴラトとラク?クタカは存亡の危機にあります」
「あんたならどういう忠告をする、将軍?」ウルギットはたずねた。
「忠告などありません」クラダクは言った。「ゴラトとクタカが敵のものになる事実を受け入れて、ウルガ、モークト、アラガを固守することに努力を注ぐしかありませんな」
「将軍、それではクトル?マーゴスの九つの軍管区のうち、わがはいの支配下にあるのはただの三ヵ所になってしまう。王国はザカーズにひとのみにされてしまうぞ」
将軍は肩をすくめた。「マロリー軍より先にラク?クタカに到着するのはむりですな。都市は陥落するでしょう。しかたのないことですよ」
「あそこの駐屯軍を増強したとしたら、どうだ? 状況は変わってくるのではないか?」
「たしかに、だが、不可能です」
「見込みはあるかもしれん」ウルギットはすばやくガリオンを見やった。「船で増援部隊を移動させるのをどう思う?」
「船で?」将軍は目をぱちくりさせたが、すぐにけわしい顔になった。「ばかげている」
「どうしてばかげているのだ?」
「クトル?マーゴスではそのようなことは行なわれたためしがないんですよ」
「クトル?マーゴスで行なわれたためしのないことなど、いくらでもあるだろう。船ではうまくいかないという特別な理由でもあるのか?」
「船に沈没はつきものです、陛下」クラダクは子供相手にしゃべっているかのように、皮肉っぽく指摘した。「部隊もそのくらいのことは知っていますからね、乗船を拒否するでしょうな」
オスカタットが前に進みでた。「甲板の上で最初に拒否した者を十人ばかりはりつけにしてやれば、そうでもなくなります」かれは断固たる口調で言った。「そういう見せしめは、残りの兵の抵抗を弱めるはずです」
クラダクが露骨な憎悪を浮かべて、ごま塩頭の男を一瞥した。「家令ごときに司令のなにがわかるんだ?」と問いつめると、ふたたび冷笑を隠そうともせずにウルギットの方を向いた。「あなたはそこにすわっていればよろしいのですよ、ウルギット」しわがれ声で言った。「王冠と笏《しゃく》をもてあそびながら、本物の王だというふりをしていればいいのです。だが、戦争の指揮にはくちばしをつっこまないでいただきたい」
ウルギットは青くなって、しょんぼりと椅子に沈みこんだ。
「首切り役人を呼びにやらせましょうか、陛下?」オスカタットが氷のような声で問いかけた。「クラダク将軍は長生きをしすぎて、もう役立たずと思われます」
クラダクが信じられないようにオスカタットを凝視した。「よくもそんなことを!」あえぐように言った。
「あんたの命はいまや陛下のご気分しだいだぞ、クラダク。陛下が一言おっしゃれば、あんたの首は土ぼこりの中にころげ落ちるのだ」
「おれはクトル?マーゴスの軍隊を率いる将軍だぞ」クラダクはすがるように首にさげた金鎖をにぎりしめた。「タウル?ウルガスその人から約束された地位だ。おまえに指図される筋合いはない、オスカタット」
ウルギットが椅子の中で身を起こした。顔が怒りで赤くなっている。「ほう、そうなのか?」かれは危険なほど静かな声で言った。「二、三の事柄をはっきりさせるときがきたようだな」かれは王冠をぬいで、かかげもった。「これがわかるか、クラダク?」
将軍は無表情な顔でウルギットをにらみつけた。
「答えろ!」
「クトル?マーゴスの王冠です」クラダクはふてくされて答えた。
「だから、これをかぶっている者には絶対の権力があるのだ、そうだな?」
「タウル?ウルガスさまはそうでした」
「タウル?ウルガスは死んだ。いまはわがはいが王座についている。おまえは父にしたがったように、わがはいにしたがうのだ。わかったか?」
「あなたはタウル?ウルガスではない」
「そんなことはわかりきっている、クラダク将軍」ウルギットは冷たく答えた。「だが、わがはいはおまえの王だ、ウルガ家の一員でもある。興奮すると、ウルガ一族の狂気がしのびよってくるのを感じるのだ――いまも狂気が猛烈な早さで近づいてくる。わがはいが命じたとおりにしないと、日が沈む前に首がとぶぞ。さあ、部隊に乗船命令をだしてこい」
「もし拒否したら?」
ウルギットの表情が揺れた。なぜか、かれは訴えるようにガリオンを見た。
「殺すんだ」ガリオンは人々の注意をただちにとらえずにおかない、あの平板な声で言った。
ウルギットはふたたび背筋を伸ばすと、鐘の引き綱をぐいとひっぱった。外の廊下で大きなどらの音がひびいた。すぐさまふたりのたくましい護衛が応じた。
「はい、陛下?」ひとりがたずねた。
「どうなんだ、クラダク?」ウルギットはきいた。「どうする? 船か首切り台か? さっさと言え。一日中待っているわけにはいかんぞ」
クラダクの顔は土気色になった。「船です、陛下」かれはふるえ声で答えた。
「よろしい。不快な事態にいたらずに、ささいな不和を解消できてまことによろこばしい」ウルギットは護衛たちのほうを向いた。「クラダク将軍はいまから第三歩兵隊の兵舎へ直接出向くことになっている。おまえたちもついていけ。将軍は兵隊たちに港にある船で、ラク?クタカの駐屯部隊の救援に向かうよう命じるはずだ」かれは目を細めて、疑うようにクラダクを見た。「もしかれがそれ以外のことを命じたら、その場で首をはね、わがはいのところへもってこい――バケツに入れてな」
「かしこまりました」護衛は声をそろえて答えると、こぶしで鎖かたびらの胸をたたいた。
クラダクはにわかにうちしおれたようすで、ふるえながら回れ右をし、冷たい表情の護衛たちにぴたりと両わきをはさまれて、出ていった。
ウルギットはドアがしまるまで堂々たる表情をくずさなかったが、やがて万歳と言うように両腕をつきあげて、床を踏みならし、快哉を叫んだ。「はは、やったぞ!」うっとりと言った。「いい気分だった! 生まれてからずっと、ああいうことがやりたかったんだ!」
レディ?タマジンが椅子からおごそかに立ち上がり、脚をひきずって息子のすわっているところへ行くと、だまってかれをだきしめた。
「愛情のしるしですか、母上?」ウルギットは鋭い容貌をにやにや笑いでくしゃくしゃにしたまま、陽気にたずねた。「まるでマーゴ人らしくありませんね」そう言うと、ウルギットは笑い声をあげて、乱暴にレディ?タマジンを抱きしめた。
「結局、希望はあるようだわね」彼女は静かにオスカタットに話しかけた。
大きなマーゴ人の口元にかすかな笑いが浮かんで消えた。「これまでより多少期待がもてそうです、皇太后さま」オスカタットは同意した。
「助け船をだしてくれて感謝するよ、オスカタット」ウルギットは家令に言った。「きみの助けがなかったら、あそこまでできなかったかもしれない」かれは言葉をきった。「しかし、きみがわがはいの計画に賛成だとはいささか意外だったと言わなくてはならないな」
「賛成ではありません。はじめからうまくいきそうもないばかげた考えだと思っています」
ウルギットは目をぱちくりさせた。
「ですが、もうひとつゆるがせにできないことがあったのですよ――そのほうがはるかに重要なのです」大男の顔に奇妙な誇りが浮かんだ。「陛下が将軍たちのひとりを威圧したのは、これがはじめてだということにお気づきですか? 将軍連中は、陛下が即位なさった日以来、陛下を踏みつけてきたのです。船数隻と二、三千人の兵を失うぐらい、正真正銘の王がクトル?マーゴスの王座に就いた代償には安いものです」
「率直な意見をありがとう、オスカタット」ウルギットはいかめしく言った。「だが、事態はおまえが考えているほどひどいことにはならないかもしれない」
「そうかもしれません、しかし、タウル?ウルガスだったら、こんなことはなさらなかったでしょう」
「いつかタウル?ウルガスがもうこの世にいないことをわれわれみんなが喜ぶ日がくるかもしれないそ、オスカタット」わずかに皮肉めかした微笑が王の口元をよこぎった。「じっさい、わがはいは早くも小さな歓喜がこみあげてくるのを感じたような気がするのだ。この戦争はわがはいに不利だ。戦いに負けている者は思い切った手段に出るしかない。カル?ザカーズがわがはいの首を竿の先にぶらさげてラク?ウルガの街を行進するのを防ぎたかったら、いちかばちかやってみるしかないんだ」
「おおせのとおりに」家令は一礼しながら言った。「わたしも少し命令を出さねばならないようです。さがってもよろしいでしょうか?」
「もちろんだ」
オスカタットはきびすをかえしてドアのほうへ歩きだした。ところがそこまで行かないうちに、ドアが開いてシルクが部屋にはいってきた。家令は足をとめて、まじまじとドラスニア人を見つめた。シルクの手がすばやく頭巾のほうへ動いたが、やがてかれは残念そうに顔をしかめて手をおろした。
ガリオンは心のなかでうめき声をあげた。用心深くオスカタットの背後に近づいていくと、ダーニクと巨漢のトスも万一にそなえてオスカタットを両わきからはさむように接近してくるのが見えた。
「きさま!」オスカタットはシルクに向かってわめいた。「ここでなにをしている?」
シルクは観念した表情になった。「通りすがりだよ、オスカタット」となにげなく答えた。「元気らしいね?」
ウルギットが顔をあげた。「どういうことだ?」
「家令とわたしは古い友人なんです、陛下」シルクは答えた。「何年か前にラク?ゴスカで会ったことがありましてね」
「陛下はこの男の素性を知っておられるんですか?」オスカタットが問いつめた。
ウルギットは肩をすくめた。「サディの従者のひとりだ。そう聞いている」
「真っ赤な嘘です、ウルギット。こいつはドラスニアのケルダー王子ですよ、世界きっての悪評高い密偵です」
「それはいささかほめすぎというものだよ」シルクはやんわりと言った。
「ラク?ゴスカでおまえの悪計がばれたとき、タウル?ウルガスがおまえを拘留するために送り込んだ兵隊たちを殺したのを否定するのか?」オスカタットは非難した。
「本当に〝殺した?という言葉を使ったかどうかわからないがね、閣下」シルクはひるんだ。「まあ、多少不快なことがあったのは認めるが、殺したというのは、要約としてはあまりいただけないな」
「陛下」陰気な顔の年配のマーゴ人は言った。「陛下の長兄であられるドラク?ウルガスの死はこやつの責任ですぞ。長年こやつの死刑を望んでおりましたが、即刻実行に移しましょう。ただちに首切り役人を呼びにやらせます」
 

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