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この国の長時間労働がなくならない理由

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今の日本では、長時間労働が非常に大きな問題になっています。自殺者を出した電通では、それがついに刑事裁判に発展するまでになりました。

日本を取り巻くこの大きな問題について、作家の松尾直樹さんに聞いてみました。

1 日本の長時間労働の実態

最近の長時間労働についてはどう思われますか?

 

 

最近の長時間労働について、産業時代の末期的症状のように感じます。働く労働者にとっては大変悲惨な状況である。と言わざるをえません。
そもそも残業を自ら進んで買って出ることが、いい部々が昔はありましたが、現代社会ではあまり良いことではなくなってしまいました。なぜならほとんどの人が残業に疑問を感じてしまい、嫌々で残業仕事をしている事が多々あるからです。

 

当然ながら好きで残業している人はごく少数ですよね。なのに残業は減らないのはなぜでしょう?

 

それは、会社で決められた業務を誰かがこなさないといけない状況である事が一つの理由です。業務の割り振りそのものが労働者のコントロールできるものではなく、自ら選んだ業務ではなく、どれだけ仕事が終わらなくても業務を減らしてもらえない、変えてもらえないという状態になっています。

おとなしい人や文句を言わない人に多くの仕事が偏っています。それをいいことに管理者がどんどんと仕事を押し付け、自身の都合を押し付け、鬱や自殺の増える要因になっているわけですね。また、管理者のパワハラがまかり通る状態が未だにあることもそれに拍車をかけています。

会社員以外の、学校の先生、公務員まで例外ではありません。はっきり言って異常な状態です。

2 なぜ今この時代で顕在化したのか

松尾さんは、なぜ最近ここまで長時間労働が顕在化したとお考えですか?

 

一昔前まではみんなが残業をし長時間労働とともに、「根性を持って頑張っていれば良いことがあるかもしれない」という期待感がありました。会社組織にぶら下がっていれば、何とか明るい状況に変わるかもしれない、との考えで歯を食いしばって頑張ってきた諸先輩方たちの努力がありました。

しかし確実に時代は変わってきています。それが報われなくなってきた。産業が限界を迎え、努力が報われなくなってきたことが不満に変わりました。

 

産業の変化というものが一つの原因になっているんですね。

 

今は情報化社会です。多くの産業がインターネットの産業に取って代わってしまう。そういった気の毒な業種において年々労働者の労働実態が過酷になってきていると言わざるを得ません。人間は納得して働いている、あるいは自分の好きな事であれば睡眠時間を削ってでもやってしまう生き物です。反対に、嫌々で仕事をしている状態であれば大変危険な状態です。過酷な労働に精神が耐えられなくなります。無理をして仕事をしている状態では、ミスが増え仕事が雑になり、結果として仲間の信頼までも失う結果になるという悪循環に陥ってしまいます。

時代の変化もあり、先の見えない中での仕事がより問題を深刻にしています。さらにその状態を続けると、今問題になっている鬱などの状態となり、「自分は何をやってもどこに行ってもこのような行き詰まった人生なるに違いない」と自ら考えるようになります。これが今多くの企業で起こっているわけで本格的にまずい状態です。

3 今の時代はバブルとは違う

ということは、時代の変化によって長時間労働が問題化してきているということでしょうか?

 

問題が「顕著化」していると言えると思います。おそらく、時代の移り変わり、日本で言う1989年前のバブル時代に非常に良く似ている気がします。

 

しかし、バブルの頃はそこまで長時間労働が問題視されることもなかったように思えます。

 

それは全員が「この時代をみんなで乗り越えよう。」という雰囲気の中にいたからではないでしょうか。しかも、働き方の選択肢も少なく、職の選択肢の違いによる格差などもありませんでした。その「みんなで乗り越えよう」というような一種の魔法が通用しなくなっているというのが今の時代です。あの時代は異常でしたから。

 

私はバブルの時代を知らないのですが、バブルの頃は多くの人が長時間労働を歓迎し、自分から進んでどんどん働いていたのでしょうか?

 

いえ、歓迎してたのではありません。社会全体が一年中お祭り状態でした。三高(高学歴、高収入、高身長)がもてはやされ、マハラジャというディスコが流行し、イケイケムードのお祭り騒ぎでした。
「アメリカをあと数年で日本が追い抜くだろう」と、そのように言われていました。みんな本気で考えていました。日経平均も39000円までいきました。中にはバブル崩壊の警鐘を鳴らしていた人もいましたが、ほとんど全ての人がこのままの勢いがずっと続くとそう思い込んでいました。

 

バブルの時代は多くの人が興奮状態だったということでしょうか?

 

そうです。みな、豊かであると勘違いし異常な状態が続いていました。

4 雇用の形そのものが限界

バブルの頃は、みんな豊かだと思っていた。でもそれがただの勘違いだったとバブルが崩壊して初めて気付いたということなんですね。
そのバブルの熱狂が解けると同時に、働き方もまた日本人にとって苦しくなってきた。それが限界に達しているのが今の日本の状態だということが分かります。

 

僕も、高校生のバイト時代から労働者です。そしてそのまま正規社員でになることが当たり前でした。若き日のヒルズ族のような特別な人は別として。
ただ今は労働者が当たり前ではなく、働き方も変わってきています。そろそろその雇用形態自体が確かに限界かもしれません

 

今のこの労働を取り巻く問題は、正社員という雇用の形の限界を示しているということなのでしょうか?

 

はい。正社員も契約社員もバイトもパートも、言わせてもらえば同じ労働者です。全ての人が労働者という、この形そのものが限界にきています。雇用されるのが当たり前では、上司や経営者の無茶に逆らうことができません。雇用される以外の道を作ることで、本当の自由につながります。

 

長時間労働を解決するための1つのカギが、雇用というあり方以外の方法を見つけることなんですね。
そういえば、江戸時代には70%以上が百姓で、当然彼らは被雇用者ではありません。正社員という考え方そのものが人類の歴史上で短い期間の限定された手段です。

 

その通りです。江戸時代、つまり農業中心の「士農工商」の仕組みの中で、実際は江戸末期は武士は形骸化しています。士は農工商からお金を借りて生活せざるを得ない人が多数いたと聞きます。本来は最も高い身分であるはずなのに。そして、明治維新で多くの犠牲を払い農業から産業へ時代が移った。

その時と同様の産業の変化がこれから起こると考えています。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」
歴史から我々は学ぶべきです。

 

5 これからの新しい働き方

では、これからの働き方とはどのようなものなのでしょうか?

 

ビジネスオーナーとなり、お金がお金を生むシステムを作り出すこと。これが増えます。今の時代においては個人が稼ぐことができるようになります。

 

雇われて給料を得るのではなく、お金を生み出すシステムを作り出す必要があるのですね。
とはいうものの、雇われずにお金を生み出すというのは多くの人にとってはハードルが高いのではないでしょうか?

 

確かに、一人でビジネスを立ち上げるのは難しいです。ただ、私のような凡才でも資産を作る、資産のために働ける道があることを知れば、人生が不思議とワクワクうきうきするんです。この楽しさを経験する人が増えれば、どんどん労働者からシフトするのではないかと思っています。

 

たしかに与えられた仕事をただやるより一から自分で考えるのはワクワクしそうです。
松尾さんのように、自分の力で稼いでいくために必要な心がけはありますか?

 

別にありません。この日本で、食べられないため餓死したというような話を聞いたことがありますか?
どれだけうまくいかなくても、死ぬことはありません。だからこそ、自分の信じた道を突き進むだけです。
 

特別なことをするより行動しろということですね

 

そうです、行動です。今やっていることを一度立ち止まって、自分自身の人生を考え直すことをおすすめします。

 

そう考えるとこれからの社会が楽しみです。
ありがとうございました。