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どんなメディアも収益を生み出せる『二重リンク』戦略

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webサイトなどを評価する軸として、"PV"という指標がある。このPVというのはだいたい何人(PVの場合はのべ人数になる、明確な人数で言うとUU)が見てくれたかという指標であるため、分かりやすさもあいまってサイトの規模を評価したり、パブリッシャーの指標になりやすい。

ところが、アフィリエイトをはじめとした成果型広告での運用をする事業者(主に個人が多い)ほどPVをあまり意識しない傾向にある。近年世を騒がせているキュレーションメディアなどや、新聞社・雑誌社の運営するような大規模なニュースサイトの方がPVが指標として測られている傾向にある。

メディアはPVを重視すべきなのだろうか、それとも不必要なのだろうか。PVは何を意味するのか、そして何をもたらすのか。
そうした背景から、今後のメディアの戦略の話をしようと思う。

 

1 企業メディアがPVを重視する理由

今回は、個人の運営するサイトをブログなど含め、個人メディア。企業が運営するいわゆるインターネットメディアのことを企業メディアと読んでいる。両者に明確な違いがあるとかではないが、便宜上そう呼び分けることにする。

企業メディアは、PVを重視する傾向にある。(個人メディアと比べてという意味であり、もちろん全てがそうでない。が、これも便宜上そう呼ぶ。)

 

これはなぜかというと、企業メディアの大きな収益源としてスポンサードコンテンツや純広告が存在するからだ。

スポンサードコンテンツというのは、企業の商品やサービスを紹介したりする主に記事コンテンツのことで、(広告主がコンテンツを制作する場合、メディアがコンテンツを制作する場合があるが)それがどれだけの人数に読まれたかどうかで評価される傾向にある。

純広告は、バナー広告などサイト上のどこかに存在する広告リンクであり、なおかつGoogle AdSenseなどのネットワーク広告とは違い、読み手によって表示される広告が変わらないものを指す。(定義として完璧に正しくないがこれもイメージしやすさの便宜上そう説明する。)

 

つまり、企業メディアの場合、広告主に提供する価値が『どれだけ露出されるか』に依存する部分があり、広告主もそこを見る傾向にある。広告主からすれば、4マス(テレビ、雑誌、新聞、ラジオ)などのインターネット以外の広告媒体も含めて比較対象になりうるのでまとめて横断的に比較がしやすい『露出量(見る人の数)』で価値を推測されるということだ。

2 個人メディアがPVを見ない理由

それに対して、個人メディアの場合、収益源は大きく2つ存在する。

・アドセンス
・アフィリエイト

 

アドセンスはGoogle AdSenseのことで、バナーをサイト内に貼り付け、ユーザー(読み手)の情報に基づいて最適な広告が配信される。記事中でもサイドバーでも設置することができ、サイト運営者は広告主を選ぶ必要がないため気軽に収益化を行うことができる。

ただ、コンテンツとは全く関係ない内容が無機質に表示される傾向にあることから収益性はそこまで高くない。一般的に、アドセンスによる収益化は1PVあたり0.5円程度(当然、複数のアドセンスの合算)と言われている。

とはいえ、最近上場したGame Withがアドセンスのみで収益を立てていたり、アドセンスも十分なビジネスになりうる。(厳密には、Google Adsenseとジーニーのネットワーク広告)

 

アフィリエイトは成果報酬型広告のことで、その多くは「購入」もしくは「登録」を成果点として報酬がサイト運営者に払われる。実は、このアフィリエイトの仕組みが個人メディアがPVを重視しない理由になっている。
あなたがサイト運営者だったとして、報酬を受け取ることができるのは、ユーザー(読み手)がリンクをクリックし、その上で商品を購入したりサイトなどに登録したりした場合のみだ。つまり、『露出量』ではなく『成果量』しかお金を生み出さない。

アフィリエイトの場合、多くの個人メディアは(特に大きな利益を上げている者ほど)広告案件を前提にしてメディアを組み立てる。化粧品の案件で成果を上げたいのならば、化粧品を買いそうなユーザーのみを集めればいいと考える、という場合が多い。

そして、特に個人メディアの多くがグーグル経由での集客チャネルに頼っているため、その売上に繋がりやすいキーワードのみを狙う。いたずらにPVを増やしても買ってくれるユーザーでなければ意味がないので特定のキーワードを狙うその結果としてPVに対する重きが小さくなるわけである。

3 企業メディアもアドセンスやアフィリエイトを用いる

もちろん、企業メディアも上記のアドセンスやアフィリエイトを収益化の1つのカードとして使用している。
例えば、世を騒がせたWELQなどはアフィリエイト広告が割合多かったし、検索ワードを集中して拾いにいく戦略は個人メディアの戦略を企業が実行しているような形だった。(それゆえに個人メディアはじめアフィリエイターからは脅威とされていた部分があった。)

例えば、小学館はウォーターサーバーのアフィリエイトサイトを運営しており、今の時代は企業が個人メディアの戦略を模倣するようなことすら起こっている。

そういう意味で、個人メディアのPVに依存せず徹底して収益につながるチャネルを狙う戦略は優れており、今後企業がその市場に群がってくる可能性も十分あるだろう。

4 個人メディアと企業メディア、収益性の違い

もちろん、それだけを取り上げてどちらが優れているとは言えないが個人メディアのPVあたりの売上と企業メディアのPVあたりの売上には大きな差がある。

いわゆるアフィリエイトサイトを運営する個人メディアは3~70円/PVなのに対し、企業メディアは0.5円/PVほどが相場だ。その差は最大で100倍以上あり、個人メディアがいかに効率よく稼いでいるかが分かる。

DeNAパレットが有名なキュレーションメディアや、インターネットメディアと呼ばれるニュース系サイトもおおよそ0.5±0.3円/PVくらいのレンジに収まっているイメージでPVあたりの収益は個人のメディアの方が大きいという少し不思議な図式が見てとれる。

 

個人メディアは、お金になる案件をベースに集客するが、企業メディアは集客を前提に(需要のある情報を配信することが先)後からお金に換えるようなイメージに近い。

そうした戦略、もっと遡れば思想の違いがあってこうした収益性の違いが生まれている。

5 個人メディアは金になるジャンルしか扱えない

逆の見方をすれば、個人メディア(この場合より適切なのはアフィリエイトで収益化を行うサイト)はすでにアフィリエイトなどの高い金額の広告案件のあるジャンルに土俵が限られるということになる。

いわゆるバイラルメディア(SNSなどで拡散されるようなコンテンツを多く生み出すメディア)などは個人メディアの戦略と対極にあって、彼らからすれば金にならない存在である。

 

そして、個人メディアはより競争に晒されることになる。
それが検索エンジン上での競争だ。

検索という行動の性質上、キーワードによっては非常に購入してくれる可能性が高いユーザーが流れてくる。(その最たる例が、商標ワードと言われる商品名などのキーワードである。)

そうした『金になるワード』でいかに上位表示するかが収益を左右する部分になるわけである。

 

もちろん、例えばGameWithも『パズドラ』などの主要なワードで1位に表示できるかどうかで大きくPVが違うので、企業メディアもそうした(検索キーワードでの順位に左右される)性質を持っていて、個人メディアだけの問題ではないが、企業メディアは規模が大きいゆえにリピーターを獲得したりSNS上のチャネルを利用したりできるのに対して、個人メディアの方が選択肢はどうしても少なくなる。

特に、収益性の高く、なおかつボリューム(検索の回数)の大きいものは数がそもそも限られているためそこで日々検索エンジン対策が行われる。

 

アフィリエイトで金になると言われているジャンルが「美容」「金融」「健康」であり、その中でもより収益性の高い(ユーザーの行動意欲が高い)キーワードは競争がいっそう激しい。

6 Googleという大きなリスク

そんな個人メディアに大きな衝撃をもたらしたのが今月頭のGoogleのアルゴリズムの変更だ。その内容についての詳細な説明は避けるが、健康に関するキーワードで多くのメディアが下落した。(一方、医療機関のサイトやメーカーの公式サイトが上位に表示されるようになった。)

お金になる(=ユーザーが行動につながりやすい)キーワードでの順位に収益が直結する個人メディアとしては戦々恐々としているだろう。一夜にしてサイトの売上が大きく変わる可能性がある。

 

そうした中で、今後個人サイトも特定のキーワードに依存しない、検索エンジンに依存しない戦略を作っていく必要があると言えるだろう。選択肢の数が多ければ多いほどリスクヘッジにはなるし、当然それ自体が広がるほどに市場が伸びると言える。(そもそも、アフィリエイト広告の市場は年々、インターネット広告市場の伸びを超える勢いで伸びているので市場自体はそもそも心配する必要なく伸びていると言えるが。)

今お金になっていないキーワードで収益を上げれるようにする、検索エンジン以外からユーザーを集客できるようにする、このどちらかが必要になると言えるだろう。

7 お金にならないジャンルから収益を生み出す『二重リンク戦略』

我々が提唱する戦略は、個人サイトの今までの『金になるキーワード』を集中して狙うのとは真逆の、『お金にならないけどPVは稼げる』ジャンルを狙うやり方だ。

いわゆるバイラルメディアがこれに近く、おもしろ動画や猫などペット、ゴシップなどのジャンルを扱う。
しかし、前述の通り、こうしたジャンルは収益につながりにくく(単価の高い案件が少ない、購入に至りにくい)あまりビジネスとして適していないと考えられていた。

実際の方法としては、

①PVを集める用の記事に集客する
②文中で他の記事に誘導する
③その記事で単価の高い案件、広告を紹介する

というものである。

つまり、最初にアクセスの集まる記事では成果を生み出さず(広告を貼らない)、別のサイトや記事に誘導してそこに広告単価の高いアフィリエイトリンクなどを貼る。

これを、便宜上『二重リンク戦略』と呼ぶ。通常のアフィリエイトなどの仕組みが一重(ユーザーの訪れたページに対して、リンクを貼り、商品ページへと飛ばす)なのに対して、集客用ページ→収益用ページ→商品ページ(広告主サイト)という二重のリンクを貼る。

8 アクセスの記事と収益の記事を分ける

例えば、芸能、グルメ、レシピ、政治、スポーツ、ペットなどのジャンルはわりかしアクセスが集まりやすい。人の関心を惹きやすい内容でなおかつ話題も常にたくさん出てくるからだ。

ところが、個人メディアの概念ではアフィリエイトなどで収益化することが非常に難しく、それらの記事中で収益を集めることは諦める。その代わりに、収益になる記事に対してリンクを飛ばすのだ。

例を上げると、芸能人について書いた記事(アクセスが集まりやすい)があったとして(〇〇が熱愛!?など)、その記事の中に『芸能人も愛用のコスメ』などのような見出しで化粧品について解説している記事(利益の生まれやすい)に誘導するような形になる。

 

ポイントはこの誘導文であり、言うならば記事の内容(上で言う芸能)とは関係ない記事(上で言う化粧品)にユーザーが飛んでくれるためにはそれだけ引きのあるキャッチコピーを用意しなければいけない。

他にも、グルメの記事から健康(例えばサプリメントとか)の記事に飛んでもらうためにはそれだけ『え、完全食ってなに!?』という注目を集める必要がある。

9 二重リンク戦略の効果は?

実はこの二重にリンクを誘導する戦略ではすでに実績がある。

その中では、成約数/PV(最初のアクセスを集める用の記事のみ)が0.1%~0.3%という数字を出している。アフィリエイトの案件の単価が3000~5000円、つまり3~15円/PVという高い数字を出している。
もちろん、誘導文の質などがあっての上なので同じことをすれば全ての人がこうなるわけではない。

 

ただ、今までの個人メディアのやり方と大きく異なるのは分母になるPV数を稼げる可能性が大きく異なる、市場そのものが圧倒的に大きいという部分である。特定のキーワードを争うやり方と違い、アクセスを集めるための手段が豊富に存在する。

競争過多に陥りつつある個人メディア市場を考えると、その魅力はかなり大きい戦略なのではないだろうか。

10 二重リンク戦略のカギは知名度?

さらに言えばこの二重リンク戦略の2つ目の記事(収益を生むための記事)はジャンル選びや広告主の知名度も重要である。

無名のものやあまり興味を持たれないニッチなものを扱っても、まず最初の記事から次の記事へとクリックが及ぶ可能性が非常に小さくなってしまう。今現在広告などの露出が多かったり、仮想通貨などのような大きなムーブメントになっているもの、完全食などのような意外性のあるものなど『あ、なんか聞いたことあるかな』と思わせるものである必要がある。

 

アクセスを集める記事→収益を生む記事→商品ページ

だったとして、この2つ目と3つ目は連動していないといけないし、そこのジャンルは意外と限られるのかもしれない。(そういう意味では後半の2つは個人メディアの手段と似ている)

ただ、1つ目の記事はアクセスを集める手段やジャンルが豊富に存在する。母数もかなり大きい。結局収益を生む案件は変わらないが、そこへのアプローチは無限に増えるかもしれない。

11 アクセスの集めやすいジャンルとは?

例えば、アクセスが集まりやすい記事として挙げられるのに、昔トレンドアフィリとか呼ばれていたものがある。

これは、その時話題になっているような芸能人に関するページ(または熱愛、不倫など注目を集めるような行動)を作って、そうしたキーワードで集客するやり方。テレビを見れば常に芸能人のゴシップなどが話題になっているように、注目度は高く、常に話題が変化することからあらゆる領域をカバーすることができる。

そうした話題性は、新しいクールのテレビ番組や映画、恋愛などのゴシップ、SNSの投稿などあらゆる部分から予測することができ、それに対応し続ければ高い精度でアクセスを集めることができる。

 

他、バイラルメディアなどで活用されていたペット、おもしろ動画、感動系といった話題も常に人を集めることができる可能性が高い。こうしたジャンルは常に同じようなものが人気を持っているケースが非常に多く、海外などから話題を収集するなどして定期的にニーズのあるものを仕入れることができる。

 

それ以外で言うと、人気のあるジャンル(かつお金にならないとされていたもの)はグルメ、イベント(季節ごとの催し)、政治、スポーツ、エンタメ(漫画アニメ)、画像まとめなどではないだろうか。

こういった類はアクセスを集めるための最初の記事として非常に機能しやすい。

12 脱Googleの時代へ

Googleによって振り回されているメディアも(個人も企業も問わず)少なくはないだろうが、これからの時代において、検索エンジンというもの以外の集客チャネルが重要になってきているように思う。

それは、SNSなのかもしれないし、広告なのかもしれないし、はたまた新しいアプリの存在なのかもしれない。
そうした変化を念頭に置いた上で、可能性があるのは『お金になるキーワード』という限られた椅子の争いから徐々に離脱すること、そして新たな導線の開拓を行うことだ。

 

よく、社内で『SEO対策は陣取り合戦だ』と言う。
どうやって、陣地(キーワード)を広げるか、他者の陣地を奪うか、そうした性質があるわけであるが、有限な陣地を争っていては常に競争過多なものになってしまう。

これからは、新たな陣地、ひいては陣取り合戦ではないゲームで利益を上げる必要があるだろう。
もしかすると、5年もすればこの二重リンク戦略が主流になっているかもしれない。

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