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日本のe-Sportsを世界レベルへ ゲーム業界改革に挑む起業家 和智雄司

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今回はオンラインコミュニティスカラー上の企画で、起業家の和智雄司さんにインタビューさせて頂くことになりました。

起業家が多数集うスカラー、その中でもトップクラスの起業家さんにインタビューができる機会!ということで現在和智さんの取り組んでいるe-Sportsおよびゲーム配信市場についてバンバン迫ります!
日本は5年10年遅れているとされているe-Sports市場において、世界では驚きの進化が進んでいました。これから100%くるe-Sportsの波にこの記事を読んで備えましょう!

 

和智雄司

Ativ Corporation CEO

大阪生まれ、大阪育ち。
天王寺高校を卒業後、上京して東京の慶應義塾大学に進学。在学中は学問に打ち込み、ゴールドマンサックス奨学生に選出される。入学当初は官僚を志すも、渋沢栄一氏の『論語と算盤』に陶酔し、起業家の道へ大きく方向転換。大学在学中に2度の起業を経験し、卒業後は新卒で六本木ヒルズのIT企業に入社するも配属後半年で退社し、プログラミングを独学後フリーランスエンジニアとして活動。
そこから3度目の起業、現在はアジアNo.1のテックベンチャーを目指して慶應時代の友人と共にe-Sports市場分野のサービスを開発中。

1 起業の経緯

和やかなムードでインタビューが始まりました。

 

ーーそれではまず、和智さんが最初に起業した経緯について聞かせていただけますか?

 

大学入学後は、ごく普通の大学生でした。講義に出て、サークル仲間と連んで、飲み会に明け暮れるという大学生活ど真ん中を謳歌していました。

そんなある日、大学の先輩に声をかけられて、慶應主催のLearning Across Bordersというミャンマー視察プログラムに参加することになりました。

このプログラムを通じてアジアのハングリー精神溢れる優秀な学生たちとディスカッションする機会があり、祖国の未来を担う自覚を持っていきている彼らと自分を比較して、ものすごい劣等感というか「このままではまずい」という危機感を感じて、自分の覚悟が決まったのを覚えています。

 

帰国後、とにかく自分も何かしらの形で日本に貢献できる人間になりたいと思い、官僚を目指すべく公務員試験の勉強を始め、足繁く省庁に通い現職員の方々とディスカッションしていました。

しかし、官僚の仕事について理解していくにつれ、「滅私奉公」という特性上、柔軟性に富んだパフォーマンスは発揮しづらそうだなと思うようになりました。

そういったモヤモヤを抱えている時に、近代日本経済の父と呼ばれる渋沢栄一著の『論語と算盤』という書籍に出会ったんですね。

その書籍を通じて変化の激しい時代における官民の在り方や、日本に貢献する手段としての「起業」という思想に触れて、実業によって国に貢献したいと思ったのが起業のきっかけです。

 

 

ーー起業した直接の出来事はビジネスコンテストだそうですね

 

はい。でも、当時はビジネスコンテストに出ようと思って出場したわけではなかったです。

起業の「き」の字も知らなかったので、とにかく会社のことを知りたい!と安易に考え、合同就職説明会に行きました。完全に場違いだったと思います。

 

※合同就職説明会のイメージ


当時、大学2年生だったので全く相手にされずにブースを回っていると、1社だけ自分に対して興味を持ってくれて、そこの社長さんが「弊社のビジネスコンテストに出ないか?」と言ってくれたんです。

そんな偶然があって、運よくビジネスコンテストに参加することになりました。

ビジコンの最終選考では勝つことはできなかったのですが、ビジコン最終選考参加者の中から6人で事業をやってみないかと打診を受けました。

2つ返事でオファーを受けさせてもらい、「企業で働く、を新たな選択肢に」というスローガンの下出資を受け、有給インターンシップ紹介事業をスタートさせました。

 

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華々しく起業家の道に進んだ和智さんでしたが、なかなか思い通りにいかず、メンバーの離脱などもあったそう…
我々が聞く限りでは「そんなに売上が出てるなんて成功なのでは?」と思う内容でしたが、起業家の目指すところは高い…

最終的に、学生時代に2回の起業を経験し、六本木ヒルズにあるあのIT企業に就職。も、すぐに会社員はやはり向いていないと痛感し、フリーのエンジニアに転身したそうです。
異常なスピード感です(笑)

そして、そこからが今の3回目の起業、e-Sportsとの出会いになるようです。ここからどんどん面白くなります!

2 海外ではプロゲーマーは神様?

ーーさて、これからは和智さんの事業領域であるs-Sportsおよびゲーム動画のライブ配信について話を伺っていきたいと思います。まずは、どんなきっかけからe-Sportsに関心を持ち始めましたか?


新卒で入った会社を退社した後、フリーランスエンジニアとしてある程度生計が立てられるようになった頃なんですが、同じフリーランスエンジニアとして活動していた慶應時代の友人のススメからゲーム実況配信に興味を持つようになり、そこでe-Sportsというものを初めて知りました。

エンジニアのコミュニティではゲームがとても流行っていて、中にはカリスマプレイヤーと呼ばれるような人がいたり、面白い配信をするゲーム実況者がいたりと独自の文化圏が出来上がっていました。

特に面白かったのは海外のe-Sportsのゲーム配信で、日本とは比べ物にならないくらい盛り上がっていて、かなりの市場が出来上がっていたことです。

素直に「e-Sportsやべえ!」と思いましたね。


日本でゲームをするというと、「遊び」というレッテルを貼られがちですが、海外ではゲーマーが「職業」になっていたりします。

海外のゲーマーはスポンサーがついたりして、ゲームで生計を立てている人が多いんです。すごいですよね。

 

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※2018年前半の賞金総額ランキングが以下の通りです。いかにどでかいマーケットになっているかが分かります。

1位 Dota2(ドータ・ツー) 約157億円
2位 League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド) 約58億8千万円
3位 Counter-Strike:Global Offensive(カウンターストライク グローバル・オフェンシブ) 約58億7千万円

 

その一方で、日本のゲーマーの多くはゲームだけで食べていける人が圧倒的に少ない構造をしていて、まだまだ市場が発展途中という感じです。

ゲーマーの稼ぎ口は、ゲームの大会賞金や、有名になってスポンサー費をもらう、広告案件を貰う、とかが今の主流なんですけど如何せんそれだけだと収入が安定しないので、本業やバイトをしつつ生計を立てている人が多いのが日本の現状です。

ゲーム配信を通じて面白いコンテンツを提供しても、それを仕事にできないことが理不尽だなと感じました。
何とか日本における業界の構造を変えられないかと思い、この素晴らしいゲームの世界を紹介してくれた慶應時代の友人と共に、このe-Sports領域で事業をすることを決めました。

 

 

ーーお隣の韓国では日本よりもはるかにゲーム熱が強いと言いますが、かなり盛り上がりも違うのでしょうか?

 

実はゲーム市場においては、韓国の方が10年先を行っていると言われています。

韓国は99年からStarcraft(スタークラフト)というゲームで「99プロゲーマー・コリアオープン」というTV中継によりe-Sportsが始まりました。

1990年代後半以降、ゲーム産業が急激に発展すると同時にプロゲーマーブームが到来し、ゲームに対する社会的認知が高まることでe-Sportsが急成長しました。

韓国ではe-Sportsは"サイバースポーツ"とも呼ばれているそうで、今では日本と比べ物にならないくらいの熱狂的な盛り上がりを見せています。

昨年、アメリカのサンノゼにてTwitchConというゲーマーの祭典に参加してきたのですが、年々その規模は拡大しており、ゲーマーでは知らない者はいないくらいのイベントに成長しています。

海外でプロゲーマーというと神様のように崇められる、それくらいホットな市場になっているんです。

 


とあるTwichConの1シーン。近未来感がすごい!

 

 

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e-Sportsについて再整理!

e-Sportsとは「エレクトロニック・スポーツ」の略称で、
電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉で、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使ったスポーツ競技のことを指します。

簡単に言ってしまうと、複数人のプレイヤーで対戦するゲームをスポーツとして解釈して「e-Sports」と呼ぶのだそうです。

例えば、アメリカではe-Sportsは正式にスポーツと認定されており、先ほど話に出てきた韓国や中国でもe-Sportsにまつわるイベントが多数開催されており、年々市場も急拡大しています。
日本ではまだまだe-Sportsが遅れてる状況なんですねー

3 e-Sports最大の魅力は"下克上"

ーー先ほど日本はe-Sportsに関して遅れをとっていると伺いました。

 

日本でもようやくCM等が放映され、e-Sportsという単語が徐々に浸透し始めてきたかと思うのですが、依然として認知度は低いかと思います。

e-Sports分野において日本が後塵を拝している要因について、様々な議論がなされていますが一番大きな要因は「ゲーム=お遊び」という見方がまだまだ根強いのが理由だと考えています。

私が小学生の頃は「ゲームは1日1時間」「ゲームをやりすぎるとゲーム脳になる」などというゲームに対するネガティブキャンペーンが非常に多かったように思います。

確かに子供の目や健康を考慮するとゲームのやりすぎは良くないのですが、「ゲーム=悪、遊び、堕落」のような刷り込みがなされることから、才能溢れる世界で戦えるゲーマーが排出されにくかったりするのでは、と考えています。

また、学生や社会人のゲーマーさんもある一定レベルまで実力を磨かないと、ゲーム1本で生計は立てられない「実力主義社会」なので、そう言った構造もe-Sports市場の発展を阻害する要因になっているのではないかと考えています。

 

 

ーー逆に、そこまで日本で普及していないというのは大きなチャンスかもしれません。日本のマーケット自体は中国ほどではなくてもかなり大きく、アニメ漫画などのカルチャーは世界でトップクラスです。
ソーシャルゲームの市場は世界的に見てもかなり大きいですし、これから日本で普及すればとんでもないことになりそうですよね。

 

まさにおっしゃる通りで、日本市場で火がつけばとんでもない市場になることは間違いないと思います。

現在はe-Sportsをスポーツとして見なされていませんが、今後ネットTVの普及やライブストリーミング系のサービスの中でゲーム配信が市民権を得ていくにつれて、興味関心を持つユーザーが増えてくるので、さらにこの分野は熱を帯びてくると思います。

また、日本が誇る漫画やアニメとのコラボやタイアップによって、ゲーム経験のない新規層の取り込みも可能となるため、ユーザーの獲得にさらにブーストがかかりそうです。

ユーザー数(競技人口)が増えてくると、本格的にe-Sportsが成立するわけですから、公式にスポーツとして認定されるのは時間の問題かと思います。

 

スポーツと比べるとs-Sportsは身体能力や体格に関係なく個人の努力で実力を伸ばすことが可能な上、ゲームのタイトルやアップデートによってルールや操作方法が一定期間で変化するので、短い期間の修練で熟練者を倒すことだって可能になります。

こういった下克上が起きるのもe-Sportsならではの醍醐味になると思います。

 

 

ーーe-Sportsの場合は新しいタイトルが一気にこれまでのゲームタイトルよりも人気になって急にスターが生まれる可能性もあるわけですね。

 

はい。その可能性は十分にあると思います。

自身の身体能力や体格に自信がなくても、競技のスタートが遅かったとしても、ハンデが生まれにくいのがe-Sportsの魅力です。

ゲームタイトルが次々に出てくることで、常に絶対王者が君臨し続ける出来レースのようなものではなく、今日王者だったプレイヤーが明日を脅かされるような、そんなエキサイティングなプレイがあちこちで起こります。

そうなれば、「もしかすると僕も、私も」と思うユーザーが次々にe-Sportsに参入してくる流れができてくるので、より競争がおきやすくなって市場のレベルが高まってくるでしょう。

 

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例えば、我々がサッカーを頑張ってもメッシに勝てることはありませんが、ゲームに関して言えば、それがあるかもしれません。

なぜかというとゲーム自体の調整や、うまく運の要素が入っていたりしていて、良い意味でも悪い意味でもみんなに勝てる可能性が備わっているのだそう。

だからこそ、今中国や韓国ではプロゲーマーになりたい子供が急増しているのですね。

4 今盛り上がりを見せるライブ配信の抱える大きな課題

ーーe-Sportsそのものの競技人口が増えてくると日本でもかなりチャンスが増えそうです。
ここからはその中でも、「ゲーム配信」というテーマに絞ってより詳しいところに迫りたいと思いますが、ゲーム配信についてはどのような状況なのでしょうか?

 

ホットなe-Sports市場ですが、実は本格的に腕を磨いて対戦するようなプロゲーマーの対戦配信もさることながら、カジュアルなゲームライブ配信も相当な盛り上がりを見せています。

俗に言う「ゲーム実況配信」と言われるものですね。

このゲームライブ配信の特徴としては、ただゲームのプレイ画面を見るだけではなくゲーム実況者の会話を聴きながら、あるいはプラットフォームによっては実況者がゲームをプレイする姿を見ながらゲーム配信を視聴できることです。
※画面の一部に配信者の姿を合成投影し配信することができます。

カジュアルなゲームライブ配信においては、ゲームの上手い下手よりも実況者のリアクションだったり、個性であったり、視聴者の心をグッと掴むようなプレイヤーが市場で非常に人気を得ています。

私たちはe-Sports領域の中でも、このゲームライブ配信が特に面白いなと思っています。

 

 

ーー日本ではあまり耳にする機会がないですが、世界的に見ればかなり盛り上がっているようです。
和智さんがe-Sportsの中でもライブ配信に注目している理由はなんですか?

 

日本でライブ配信が熱を帯びていることは皆さん周知の事実だと思います。

17ライブや、Live Me!、SHOWROOMをはじめとしたライブ配信プラットフォームの勢いは凄まじく、今やライブ配信市場を席巻しています。

しかし、今後ライブ配信を行うプレイヤーが増えてくると配信者は自身のコンテンツを差別化しにくくなってきたり、コンテンツ不足に悩むようになります。

強烈な個性を持っている配信者であればまだしも、通常の配信者がコンテンツに独自性を打ち出すのはハードルが高いことです。

そうなると、プラットフォーム内には人気コンテンツの二番煎じのものが量産され、コンテンツは均質化していきます。悪い意味で「どの配信も似ている」状態になります。

この状態は配信者、視聴者双方にとって望ましい状態とは言えません。

 

徐々に和智さんの語る口調にも熱が入ってきます。こういうところに起業家の事業に対するビジョンが見えてきますよね。
 

5 ライブ配信者はゲーム配信に移動する!?

ーーライブ配信の「独自性の強いコンテンツを作ることが難しく、どうしても二番煎じ的な配信が増えてしまう」という課題を解決するためのヒントがe-Sportsのライブ配信にあるということですね。
そして、ゲームとライブ配信を組み合わせることで前述の「日本でゲーマーがなかなか稼げない」という問題も解決できるということになります。

 

そうです。私がe-Sportsのライブ配信に注目している理由は、上記の既存の課題をゲーム配信によって解決できる可能性を秘めていると思うからです。

まずは配信者のコンテンツ不足、ネタ不足という問題はゲームを媒介としたライブ配信で解消できると考えています。
通常のライブ配信だと、無から有を生み出す必要があり自分でコンテンツを0→1製作する必要があったり、延々と会話ネタを思索したりする必要があります。

一方で、ゲームライブ配信ではゲーム内の行動やストーリー、立ち振る舞いなどありとあらゆることをトリガーに会話が可能です。
「あの鍛冶屋のキャラクター私のお父さんに似てる、親近感湧くからアイテム買うわw」とか何気ないシーンからネタが生まれたりします。

 

また、差別化についてもゲームのタイトルは現在無数にあります。
本格バトルものから、RPG、恋愛ものに至るまで千差万別です。ゲームの数だけ、配信コンテンツの差別化も可能な上、同タイトルであったとしても会話の切り口によってはコンテンツの組み合わせは無限大になります。

0→1の純粋想起でネタを製作するのはかなりのセンス、想像力を要するため容易ではありませんが、ゲームコンテンツを介した助成想起でネタやコンテンツを産み出すのは配信者の負担を減らしてくれます。

そういう意味でゲームを媒介としたライブ配信はめちゃくちゃ可能性がある市場だと思っています。
 

 
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ライブ配信は今かなり増えていて、大きなビジネスにもなっていますが、実際のところ1時間弱ずっと視聴者を相手に話し続けるというのはめちゃくちゃ難しいし、ネタ切れを起こしますよね。

実際、インスタライブなんかだとグダグダな配信の方がむしろ多く見ます(笑)
それを、ゲームというツールを使うことで会話の広がりが無限大になるっていうのがすごい魅力ですね。

 

ーー今まではe-Sportsの中のゲーム配信というカテゴリーで我々は考えていましたが、ゲーム配信はスポーツだけじゃなくカジュアル層、従来のライブ配信というマーケットも担うことになりそうですね。
となると、17LiveとかLive meなどのサービスからゲーム配信サービスに流れてくる配信者も多いのでしょうか?

 

はい。通常のライブ配信ユーザーがゲーム配信サービスに流れてくる可能性は十分にあると思っています。

実際ライブ配信ってかなりエネルギーを使うと思うんですよね。
自分の喋りや立ち振る舞いに注目が集まって、とにかく何かを発信し続ける。

そういう意味では俳優さんやアイドルさんはすごいですよね。
常に発信をし続けて毎日ファンの思いにしっかりと応える姿勢はさすがプロだなと思います。

ライブ配信でも人気を得ている理由がわかります。


そんな超強豪ひしめく中ではなかなか勝ち抜くのは難しい現実があります、だからこそゲームを介した配信スタイルの確立で勝負したいと思うユーザーさんも出てくると思います。

6 ライブ配信と投げ銭の相性がいい理由

ーー現在開発中のプロダクトでは、ゲーム動画のライブ配信を通じて視聴者が配信者に投げ銭をできる仕組みだとお聞きしました。(ライブ配信の投げ銭の仕組みは配信者に多くの利益をもたらしており、ゲーマーのライブ配信が増えれば日本のゲーマーの懐事情もかなり改善されそうな感じがします。)
今もすでにゲームに限定されずライブ配信と投げ銭は切っても切り離されない仲になりつつありますが、なぜライブ配信と投げ銭の組み合わせは成功しているのでしょうか?

 

投げ銭の文化についてお話しする前に、まずは「お金」に対する価値観について整理しておくと、元来よりお金とは「コミュニケーションのための手段の1つに過ぎない」と思っています。

日常生活ではお金の数字的側面だけを捉えてしまってモノの高い安いを判断するだけの記号に捉えがちですが、言語やボディランゲージと同じような括りで、コミュニケーションのコンテクスト上で使われるのがお金だと思っています。

 

例えば、「飲み会で奢る」というシーン。金額の多寡に関わらずここは俺が出す、といって出したそのお金は飲み会代金という意味だけではなく「今日は楽しかった、次もまた飲もうよ」というコンテクストを含むわけです。

また、「ブランド物を買う」という行為。周りから見ればただの浪費に見えるかもしれませんが、購入者にとってはそのブランドの創始者の持つストーリーやセンスに共感し、「あなたを尊敬しています」「あなたのセンスが好きです」という告白を行なっているようなものです。

 

つまり、お金とはコミュニケーションを円滑にするための潤滑油のような役割を果たす性質があります。

人がお金を使いたいと思う瞬間は、「心を動かされた時」です。
「ありがとう」「楽しかった」「好きです」など、言い知れぬ気持ちを伝えたい時に人はお金を投げるんだと思います。

普通に生きていて突発的にお金を使いたいと思うことはまずありません。
しかし、帰りの路上で見たことのない素晴らしいパフォーマンスが披露されていれば、心が動かされ、気づくと1,000円をそのパフォーマーの目の前の箱にいれているかもしれません。

 

人々が持つ各々の感情を表現する手段としてお金を投じる行為こそが投げ銭であると考えています。そしてそれは、ゲームライブ配信との相性が非常に良いです。

配信がライブで行われるというのがポイントで、配信中その瞬間瞬間に人の感情は動かされます。

「今のナイスプレーじゃん」とか「ちょっと今の笑った、面白い動きだった」みたいなちょっとした感情の動きを投げ銭を通じてゲーマーに伝えることができたり、それによって認知を得られることでゲーマーと視聴者の双方向のコミュニケーションをより親密なものにする仕組みとしても広まれば、ゲームコミュニティのさらなる発展にも寄与できると思います。

 

こちら現在リリースを控えている「Doneru」というサービスを特別に見せて頂きました。

 

 

ーーお金とはコミュニケーションの一部であり、投げ銭はまさにそのコミュニケーションの形なのですね。
そして、e-Sportsやゲーム配信の持つライブ感がそういった視聴者とのコミュニケーションに適しているということが分かりました。日本でもeスポーツの投げ銭文化が普及すれば変わる部分も大きいのでしょうか?

 

はい。おそらくこの文化が普及すれば、まずはe-Sportsのみならず多方面でもこの投げ銭ベースのスキームが適用されていくと思います。

企業内でちょっと仕事を手伝ってもらったり日頃の感謝を伝えたりするためにお金で気持ちを表現できるサービスがあったり、成し遂げたい夢を語ってお金を集めるクラウドファンディングのようなサービスがあったりと、すでにその思想を体現しているサービスがたくさん出ていますが、さらにその流れが加速するかと。

他人に気持ちを伝える手段としてのお金が見直され、徐々にではありますがお金がなめらかに巡る社会になっていくような気がしています。

 

※Uniposというサービスが実際に社内で「いいね」や「ありがとう」の感覚で他の社員にポイントを送ることができ、そのポイントがボーナスになるようになっています。


また、昨今多くの人がお金を投じる先は「モノ」よりも、「体験」にシフトしてきているという流れがこの動きをさらに後押ししていくと思います。

「体験」をもう少し深掘りすると、「自分が幸福を感じる瞬間」や「自己承認欲が満たされる瞬間」に対してお金を投じる人が増えてきているということです。

単純にモノを消費して一瞬の欲を満たして終わりではなく、より幸福度が高かったり、承認欲が満たされる方にお金を投げた方が良いというトレンドなのでしょうね。

「有名人に認知してもらうために投げ銭をする」というのはまさにその典型例だったりします。

7 ゲーム配信は「好きなことで生きていく」を加速させる

ーーそういった文化や視聴者のe-Sports、ゲーム配信への熱量が変わってくると今の世の中のゲームへの価値観が変わってきそうですね。

 

まずは国内のゲーム業界の発展に貢献するために、「ゲーム=悪、遊び、堕落」という偏見を取り払いたいです。

もっと言うならば、世界的にe-Sportsが隆盛を誇るトレンドに乗じて、ゲーマーが「稼げず、世間的に評価がされにくい」という課題を解決したいと考えています。

 

小学生の頃からゲームはただの遊びと言う価値観に晒されて生きてきましたが、世界を見渡してみるとむしろゲーマーは賞賛されていると言う事実を知り、私はカルチャーショックを受けました。

日本でゲーマーの社会的地位が依然と低いままである原因として、市場が単純にまだまだ未発達であるため、ゲーマーに収益が入る仕組みやそれを後押しする環境がほとんどないことであると考えています。

ゲーマーがより良いコンテンツを提供できる環境を整えたり、大会賞金以外でも食い扶持を確保できるような仕組みを構築することでこの業界の進展に貢献できると考えました。

 

また、ゲーマーとまでいかないもののカジュアルにゲーム配信を楽しみ、コンテンツという価値を生み出すユーザーもゲームを通じて稼ぎを得られる仕組みがあれば、「ゲーム=悪、遊び、堕落」という価値観も徐々に薄れていくのではないかと思っています。

現状、日本はe-Sports市場では遅れを取っていますが、日本特有の職人気質のある細かい芸や、ある意味狂気を感じる繊細さなどが実況配信を通じて海外にウケると思っています。

 

ゲーム配信などのコンテンツは言語を介さないノンバーバルなコンテンツとしても海外に発信しやすく、日本のカルチャーの伝播役としても最適だと思っています。

元来より日本は海外より文化や材料を輸入して、それをカスタマイズし海外に再輸出するいわば「加工貿易」的な立ち回りに長けている国です。

e-Sportsという文化が日本で浸透した時に、国内でどう解釈されどのような日本流ガラパゴス文化が形成されていくのか私自身、非常に楽しみでもあります。

 

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ゲーム配信は従来のライブ配信よりも言語に依存しないため、日本の配信者が世界の視聴者の心を掴むことも十分にありそうです。

すでに世界ではマーケットが存在し、またゲームという共通のコンテンツを通じてそこに日本人のもつ繊細さやもてなしの文化が加われば、どんどん日本の配信者が世界に出ていきそうです。
(すでに世界に対して配信しているYouTuberなども多いため、あと1,2年すれば実現できる…?)

 

 

ーーそうした今後の時代の変化というのは、e-Sportsのみならず他の分野にも影響してきそうですね。和智さんの考えるゲーマーに収益が入るような世の中は他のジャンルにも恩恵がありそうですし、「好きなことで生きていく」ハードルがずっと下がりそうです。

 

今後の社会はまさに「好きなことで生きていく」ことが評価される世の中になると思っています。
好き、を突き詰めていくことが自分がどういう人間であるかを規定し、結果的に「独自性のある価値」に繋がるような社会になっていくと感じています。

高度経済成長期の日本では皆が同じ方向に机を並べて同じ目標を掲げて、十人一色な画一化された人生設計レールを進めば良しとされる風潮がありました。

しかし、現代はSNSの発達等による人間関係の複雑化に伴い一人十色となり、1人1人が様々な色を持つようになりました。言い換えれば、各々の趣味嗜好が多様化し、色んな一面を使い分けるようになったわけです。

まだまだ世の中の仕組み自体がその流れに追いついていないため、至る所で歪みがでではじめているのが現状です。

そこを先回りして個々人の色を活かせるような、社会的に価値のあるプラットフォームを構築していきたいですね。

 

話が進むにつれてどんどん面白くなってきました。ゲーム配信、アツい!

8 ゲーム配信はゲームのうまい人だけのものじゃない

ーーさて、話をゲーム配信に戻しますと、実は我々が思っている以上にゲーム配信の内容や魅力は幅が広いことが分かりました。その点について聞かせてください。珍しいゲーム配信の例としてはどんなものがありますか?

 

ゲーム配信の面白い事例をあげると、海外でウケているゲーム配信者さんがいるのですが、とにかく鳥の真似をして「ホー」としか言わない配信者がいます。

視聴者から喋れと言われても、ゲームプレイ中のキャラがやられても「ホー」しか言わず、そのプレイスタイルを数年継続しています。ライブ配信で喋らないというのはあり得ないことです。

おまけに自身のアイコンも鳥をデザインしていて徹底的に鳥になりきっています。正直側から見れば意味がわからないですよね。
ですが、視聴者たちはこの配信者に言葉を話させようとあの手この手で、毎回コメントで面白いことを書き込むわけです。

いつの間にか視聴者数はとんでもないことになっています。いつ人語を喋るのか実は私も気になっています。

 


他には、ゲームが全く上手くないにも関わらず「クソゲー」と呼ばれるゲームタイトルにひたすらチャレンジする配信者がいたりします。

ただでさえ、クソゲーはクリアが難しかったりするのにゲームが下手なので序盤さえもクリアできないのが視聴者たちにとっては非常に面白いのです。

「ほら、頑張れ!」「おいおい、この8時間何にも進歩してないぞw」
視聴者が毎日のように煽りコメントを書き込んでいます。

いつしかその配信者の応援スレッドまで立ち上がり、かなり人気の配信者となっています。


ゲームライブ配信は自身の個性 × ゲームコンテンツでいくらでも配信スタイルを確立できます。

それが上手くハマれば視聴者との間にコミュニケーションが生まれ、ライブ配信がもっと面白いものになると思っています。

これまでのゲーム配信といえば、どちらかというとゲーム配信者からの一方的なコンテンツの提供というイメージが強かったのですが、現在の配信はゲームを通じていかに視聴者とコミュニケーションを取るかというところが人気を得る鍵となってきていますね。

 

ひたすら鳥の真似をしたり、ゲームが一向にクリアできない配信者の話に笑いが止まりません。

9 ゲーム配信のマーケットはe-Sportsに留まらない!?

ーーゲーム配信が、実はゲーマーのためのものだけではなく、ゲームというツールを通してコミュニケーションというのには驚きました。これからライブ配信が普及していく中でゲームが1番汎用性が高そうに思えますね。はい。ゲーム × ライブ配信という組み合わせは非常に汎用性が高いと思います。

先程お話しした通り、ゲームには幅広いジャンルがあり、無数のタイトルが存在します。

さらに、毎年新しいゲームは世に排出され続けます。
ゲームがなくならない限り、ゲームライブ配信のネタが尽きることはありません。

そのゲームを媒介として自身の独自のライブ配信スタイルを組み合わせることができれば、多種多様な配信コンテンツが生まれることになります。

そうなると、配信コンテンツの質が自ずと上がってくるので、ライブ配信市場が全体としてさらに盛り上がることになると思っています。

またこちらは余談ですが、現在自身のアバターを画面上に投影して、配信を行うVTuber市場も伸びていたり、自身の顔を元に可愛いアバターを通じてコミュニケーションを取れるZEPETOというSNSが人気になっていたります。

自分のアバターを投影してのゲームライブ配信ができることで、顔出しリスクの無い配信も可能となってきているのでますますこの市場は熱いものになると考えています。

 

※ZEPETOはLINE傘下のSNOW社の提供するアプリで、こんな感じのアバターを作成して、コミュニケーションが取れるようになっています。VTuber然り、アバターという概念が広がりそうですね。

 

ーーとなると、VTuber市場もまた和智さんの狙っている市場と被ってくるようなイメージがあります。例えば、当初はAirbnbが空いてる部屋を貸すというニッチなマーケットにサービスを展開していたところがオンラインホテル予約およびホテル市場を飲み込むまでになったように、貴社のプロダクトも「ゲーム配信」だけのサービスよりも遥かに大きなものになっていきそうです。

 


※Airbnbのピッチスライド。右が「空室の貸し出し」のマーケット、真ん中が「オンラインホテル予約」のマーケット、左が「ホテル市場」のマーケット。
Airbnbのマーケットは右の空いた部屋を貸し出す市場だと思われていましたが、今では左の200倍ほど大きいホテル市場のシェアを獲得しています。

 

はい。仰る通りでVTuber市場とも領域が被ってくるところはあると思います。

今後このプロダクトを軸に展開していく予定のサービス群の中には正面からVTuber市場と
カチ合うケースもあるかもしれません。

しかし、互いにパイを喰い合うというよりも、あくまでも我々はライブ配信市場により良いコンテンツを流通させて、さらなる市場拡張に貢献したいと考えています。

私たちのコーポレートビジョンは「アジアのライブ配信をもっとおもしろく」です。
日本、ひいてはアジアのライブ配信市場をさらに盛り上げることを第一の行動指針としてサービスを展開していく方針です。


確かにAirbnbの事例はセンセーショナルなものでした。
ニッチなサービスからステレオタイプな巨大業界を揺るがす存在にまで成長したその軌跡を追うと、目を見張るものがありますね。

そういう意味では弊社もゲームのライブ配信というニッチなエリアから展開してはいるものの、その先に見ている市場はライブ配信市場だけではありません。

詳細はまだ詳しく開示することはできませんが、他業界のかなり大きなマーケットを虎視眈々と狙っています。

 

10 さらなる「Doneru」の続報はツイッターで確認

和智さんの頭の中にはすでに次のビジョンが。気になる!気になりすぎる!

 

ということで、今回e-Sportsおよびゲーム実況、さらにはリリース予定の「Doneru」についてもお話を伺いましたが、企業秘密とのことで公開できないものもありました。

めちゃくちゃ面白かったのに公開できないのは悔しすぎる!
「そういった情報はサービスのリリースと同時に出していける」とのことで、和智雄司さんのツイッターをいますぐフォロー!

 

現役起業家の集まるコミュニティ「スカラー」はとんでもない起業家がゴロゴロいて、そういった人たちに質問ができるdiscord上の完全無料コミュニティです。(詳しい説明は「日本最大のオンラインコミュニティを創ります」の記事をご覧ください。)

これを機にぜひ登録しましょう!

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素敵な人たちにインタビューをしています。 より深い話を引き出すのがモットー